昆虫の走光性にはまだはっきりしないことが多く、私と弘中さんは10年ほど前にこれを徹底的に見直す研究を始めました。数多くの実験によって、昆虫は通常思われているように光にまっすぐ向かうのではなく、光源の縁(エッジ)に向かっていることが明らかに。この性質を活かせば捕虫効率の高い捕虫器が作れるのではないかと考え、私たちはさらに実験と研究を重ねました。そうして導き出した「エッジ効果」―波長の異なる2つの光によって作られたエッジに強く引き寄せられること―を、今回の新型捕虫器開発に活用していただいたのです。その仕組みもさることながら、特筆すべきは光源の明るさ。従来の光捕虫器よりかなり抑えられていますが捕虫効率が高いので、設置場所の昆虫はよく捕り、遠くの昆虫は引き寄せません。捕虫性能が高い上に、必要なものだけを捕るという環境への優しさ、化学物質を使わないクリーンさは、サステイナブル・ワールドを目指すことが求められている時代に最適の捕虫器だと思います。